かき揚げ無料券か全メニュー無料券か

ある平日の昼下がり、駅前の蕎麦屋で6枚つづりのかき揚げ無料券を手に入れた。
有効期限は2か月後。
その札によって、ここから2か月間でかき揚げそばを6回食べる未来が勝手に定められているようだった。

蕎麦もかき揚げも好きで、外食する機会があるとひとまず蕎麦屋を探してしまうほどなのだけど、そうやってなんとなく好んで通っていたら2か月に6回もかき揚げ蕎麦を食べていた場合と、6枚つづりのかき揚げ無料券を使い切って2か月に6回もかき揚げ蕎麦を食べていた場合とでは、同じ期間で食べた量が同じだったとしても、意味合いが異なる。

せめてかき揚げと並んで温玉とかとり天とかある中からトッピングを選ぶ券とかだったらまだ使う気になるのに。
と、そんなことを思いつつ、反対に全メニューの中から自由に選べる券だったら、自分が食べたいものを考えることよりも高いものを選ぼうとか、余計なことを考えて迷ってしまうのかもしれない、と想像したら潔くかき揚げしか選べない券も悪くはないと思った。人生には、かき揚げ無料券を使う時、全メニュー無料券を使う時、そんなものは要らないと券を跳ね返す時があるのだろう。